児童教育学科学科ニュース

  1. HOME
  2. 学部学科・大学院
  3. 児童教育学科 ニュース

桐木建始教授の最終講義が行われました

2022.01.31 学会

1月26日(水)16:30~18:00、「AI時代の保育・教育に向けて」と題しまして、本学桐木建始教授の最終講義(「教育心理学b」)が行われました。
当日は当該授業の履修生を含む本学学生に加えて、本学教職員、そして卒業生と、約220名が対面もしくはオンラインにて参加しました。

まず桐木教授はご自身の学問的ルーツである認知心理学と行動主義の異同を軸に、その「長い過去と短い歴史」である心理学史における位置づけおよび保育・教育における「人間観」や「保育・教育観」の異同についてお話しされました(行動主義:環境を重視した「教える」保育・教育、認知心理学:子どもの主体性を重視した「支える」保育・教育)。
また、本学の元学長であり心理学研究者である今田寛先生と桐木教授および広島女学院大学との関わりについても紹介され、幼児教育心理学科(現:児童教育学科)の立ち上げの経緯についても話していただきました。

さらに、桐木教授の学問的ルーツを下敷きにしてスタートし、2008年から学科にて継続的に取り組んでこられた、 算数が苦手な小学生の学習を支援する活動「学習カウンセリング」についても紹介されました。学習カウンセリングは、「学習の自立」をめざす「技術的・認知的側面」と「算数が好きになること」をめざす「情意的側面」から構成されているとのことでした。


写真)広島女学院大学の学習カウンセリングについて

そして、「AI時代の保育・教育」として、認知心理学のAIとの関りおよびAIによるディープラーニングの「威力」と「問題」(AIプロブレム)について指摘されました。このようなAI時代における難しい状況の中で、「創造性」:いわゆる「変わった子」、「不思議な子」を大切にすること、「批判力・表現力」:子どもの主体性を尊重するとともに、大人が適切な環境を整備することが「AI時代に求められること」であり、それらを追究すること通じて「知的多様性のある社会」を実現することを提唱されました。


写真)AIがもたらすと考えられる社会的影響について

最後は、「社会的交換理論」の「互恵性規範」を援用され、桐木教授の大学教員としての教育観を培う土壌になった沖縄のCMを紹介されながら「その子のために力を尽くせば、必ず答えて(成長して)くれる」ことを信じ、保育・教育にあたることを私たち後進に望むメッセージとして残され、講義は締めくくられました。


写真)花束と記念品の贈呈


写真)最終講義を運営した、児童教育学会役員とともに

桐木先生、31年間、大変お世話になりました。

 


児童教育学会副会長の大瀬戸さん(3年生)は、「1年生の頃から学習カウンセリングでお世話になった桐木先生を、中心となって送ることができてよかった。」と話していました。また、送別の言葉を伝えた石田さん(4年生/在学生代表)は、「卒業論文にあたっては、常に学生のことを気にかけ、手を差し伸べてくださる桐木先生に大いに救われてきました。個人のペースに合わせて一緒に考え、学生の意思を尊重し、丁寧な添削をしていただきました。」と感謝の気持ちを伝えていました。学科教員一同、このような「大学人」をめざして頑張っていきたいと思います。本当にありがとうございました。