アンコール・トム、タプローム、アンコール・ワット遺跡見学
2月23日
この日は遺跡見学(アンコール・トム、タプローム、アンコール・ワット)の一日です。これらの遺跡群は、迫力があり、また、不思議な魅力にあふれています。とても一日で全部は見て回ることができないのですが、有名なスポットを中心に案内していただきました。
12世紀に建造された遺跡は、日の出・日の入りやなどの天文現象を意識して緻密に設計されています。このような巨大かつ緻密な建築物をつくる技術が、12世紀には確かにこの国にあったのです。この国は、間違いなく当時の先進国でした。
3年前に引率としてこの地に訪れたときとの比較で、今回驚いたのは、物売りの子どもたちの姿がほとんど見当たらなかったことです。以前はどこからともなく現れて「ワンダラー(1$)、安いよ」と物売りに来た子どもたちの姿がありません。警察の指導が厳しくなったのだそうです。物売りに従事させられ、教育の機会が奪われている子どもが減ったのなら嬉しいことですが、そう簡単な話ではないはず。実状はどうなのか、気になりました。
ホテルに帰ってから、ここまで学んだことの振り返りと、次に訪れるボレイ・チュルサールADPで学びたいことについて、共有する時間を持ちました。みんな疲れているはずなのに、的確に意見をまとめ、熱く語る姿が頼もしかったです。
佐藤さんは、教育の機会に恵まれない子どもは勉強へのモチベーションが低いと思いこんでいたが、逆であったことに感銘を受けたとのことです。
後藤さんは、小学校の教室の狭さや本が足りていないことに心痛め、自分に何ができるのか、と考えたようです。
白木さんは、識字率が比較的低い農村部で、コミュニティのちからの大きさが印象的であったようで、子どもたちが描いた理想の未来の絵にも感動したそうです。
柏木さんは、これまで教育を受けるのが当たり前の環境のなかで先生になることを目指してきたが、もう一度、初心にかえって、教育を授けたいという気持ちを強く持ちたいと述べてくれました。
岡田さんは、子どもの権利を守るという理想に現実が追いついていないことに心を痛め、しかし、ゲームでの盛り上がり方、先生のまなざし、子どもたちの純粋さは日本もカンボジアもかわらないことに心動かされたとのことです。
江口さんは、物質的なものによるのではなく、コミュニティの結びつきによって成り立っているものを初めて見て感銘を受けた一方で、善意によって成り立っていることの脆弱性や持続可能性が気になったとのことです。
黒瀬さんは、安全な水が得られないことで生まれていた悪循環が、水道事業によって、よい循環が生まれ継続しはじめていることに着目する一方で、これまでの常識をどのように変えていくのか、新しい衛生の知識をどのように広めていけばよいのか、について関心を持ったそうです。
北村さんは、子どもが大好きという気持ちがボランティアにつながっていることを目の当たりにし、また、子どもが本当に大切にされていることに感動したようです。
このような話し合いに、ホテルのご厚意で、レストランの一角を使わせていただきましたが、閉店時間を過ぎて夜遅くまであくびをしながらもいやな顔ひとつせずお付き合い下さったレストランのおばさまの優しさにも心打たれました。
シェムリアップのキリングフィールド、アーティザン・アンコール工場、オールド・マーケットでのショッピング
2月24日
この日は首都プノンペンに移動、午後からキリングフィールドとトゥールスレン博物館見学を予定していましたが、なんと、フライトが5時間も遅れるとのこと!
でも、こういうトラブルこそ旅の醍醐味です。ガイドさんに相談し、HIS現地事務所に休日にもかかわらずご対応いただきました。急遽、シェムリアップにもあるというキリングフィールド、そしてアーティザン・アンコール工場見学、オールド・マーケットでのショッピング体験を組み込んでいただくことができました。
キリングフィールドは、今は鎮魂のための仏教寺院になっているとのことで、その一角に歴史を知らせる展示があるといった趣です。ガイドのペンさんが、悲しい歴史を語ってくださいました。
アーティザン・アンコールは、絹製品や工芸品など、非常に質の高いものを作り、伝統技術の継承と雇用の創出を実現している取り組みです。おしゃれで質が高く、でも値段のほうもなかなかのお高さです。絵画、彫刻、織物など、いろんな職人さんの仕事ぶりを見学できました。
オールド・マーケットは、雑多なお店が集まった一角で、ガイド本によってはシェムリアップ観光の目玉!とうたっているものもあるほどです。午前中のため、ややひっそりとしていましたが、学生たちは思い思いに値段交渉をしてショッピング体験をすることができました。
空港に戻って、いざプノンペンへ!
プノンペンへ移動した一行を、ガイドのティーさんが迎えて下さいました。散々笑わせたあとに「冗談でーす」の決めゼリフが愉快な、どことなく大阪のおばちゃんを思わせるティーさんです。
予定していたキリングフィールドとトゥールスレン博物館に行く時間はなく、最終日に振り替えることにしました。夕食は、リバーサイド地区のレストランで夜景に囲まれながら、楽しくいただきました。
この日の学生の感想をここに記したいと思います。
「シェムリアップとプノンペン2つの都市で歴史的な地に行くなど、日本ではできない貴重な体験をすることになりました。朝は都市間を移動するフライトが5時間遅れて当初の予定通りに行動ができないなどのハプニングもありましたが、待ち時間で3箇所ほど回り、多くの学びを得ることができました。特にシェムリアップのキリングフィールドはプノンペンのものより小さいですが、ポルポトは愛国心があり天然資源と国境を守ったので良い指導者だったと考える人もいるということを知り、新しい視点から物事を考えられ、大変勉強になりました。残りの2日間、活動のなかで疑問をもつ姿勢を心がけたいと思いました。」(国際英語学科1年、江口さん)
「飛行機の出発遅延の為、予定より多くシェムリアップの観光をすることが出来ました。特に印象的だったのは、観光客で賑わうマーケットです。商品の値段交渉は新鮮であり、成功すると嬉しい気持ちになりました。」(国際英語学科1年、白木さん)