好天に恵まれたゴールデンウィーク後半の5月4日、4人の学生(国際教養学科3年後藤美咲さん、吉村真菜さん、児童教育学科1年石本千尋さん、中岡志佳さん)が安芸太田町井仁(いに)地区で田植のお手伝いをしました。本学で開発経済学の講義を担当されている非常勤講師の栗原理(おさむ)先生は、長年当地域が抱える課題(過疎・高齢化)に取り組むお手伝いをされており、今回先生の提案でボランティアセンターを通じて学生に参加を呼びかけました。
安芸太田町井仁地区はその美しい棚田(急な傾斜地を耕して階段状に作った田-【広辞苑】)で有名で、1999(平成11)年、農林水産省の「日本の棚田百選」に広島県で唯一選定され、CNN Webニュースサイトでも'Japan's 34 most beautiful places'(「日本の美しい風景34選」、2018年版)で厳島とならんで紹介されているほどです。(https://edition.cnn.com/travel/gallery/most-beautiful-japan/index.html?gallery=22)
まず、棚田で町おこしを推進されている「いにぴちゅかい」(井仁とインカ帝国の遺跡マチュ・ピチュをかけた名前)の中心メンバーである河野さんから、手植えの仕方を教わります。
そして水を張った田んぼの中へ。わずか3畝(せ)約300m2の棚田ですが、慣れない水田、しかも中腰での作業は思ったより大変です。
作業が終了すればお楽しみのお昼ごはんです。栗原先生の奥様が用意してくださったごちそうを囲んで、先生ご夫婦とそのお知り合いのご家族そして地元の皆さんの中に、本学の4名の学生も加えていただき、にぎやかに交流の時を持ちました。
棚田を通じて町おこしを、そしてもっと多くの皆さんに知ってもらいたい。そのためにもこの棚田の景観を守らねば・・・ご高齢ながら熱く語られる河野さんの言葉に学生たちは感激していました。
この地域にとって棚田は美しい景観を有する観光資源であり、貴重な財産でもあります。
しかしこの棚田の景観を維持するには、人の手がどうしても必要です。もし耕作を放棄してしまうと、土が乾き保水力を失い、水田として使い物にならなくなるからです。
広島市内から北西約60キロに位置するこの中山間地域は、少子高齢化と若者の流出が顕著で、現在わずか50人ほどしか住民がおらず、しかも高い高齢化率ということで、300枚以上ある棚田の維持管理が非常に困難な状況に陥っています。しかも、棚田は概して狭く大型の農業機械が入ることができず、作業効率が極端に低いのです。
参加した4人は、すばらしい棚田の景観、地元の皆さんとのあたたかい交流に心を動かされた様子で、「これからも井仁地区のために何かできることがあったらお手伝いしたい」と話していました。栗原先生ご夫妻、井仁地区の皆さん、そして楽しい時間を共有させていただいたすべての皆さんにお礼を申しあげたいと思います。ありがとうございました。