人間生活学部 管理栄養学科 ニュース

管理栄養学会アーカイブ

 管理栄養学会では、年に2回、食や栄養に関して幅広い知識を得る機会として、講師の先生をお招きし、講演会を開催しております。2023年度春季講演会は、6月7日に、本学の渡部佳美教授が会長を務める『食育サミット』の共同開催として実施されました。

 会の始めに、2013年に県立広島大学で開催された第8回食育推進全国大会の動画が放映されました。
 シンポジストの先生方のお話はどれも大変興味深く、学生も一生懸命にメモを取りながらお聴きしていました。

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シンポジストの先生方

座長:県立広島大学名誉教授 加藤秀夫氏

『広島県の食育の取り組み~これまでとこれから~』
 広島県健康福祉局健康づくり推進課 主査 島谷道子氏

『スポーツを栄養面から科学する』
 広島国際大学 教授 中村亜紀氏

『"食べる"を支援する 管理栄養士の役割』
 広島女学院大学 非常勤講師 朝日綾子氏

『地域に根ざした食と健康についてどのように広めていくか』
 DEA EVENTS株式会社 代表取締役 渡部香奈子氏

 シンポジウム後には、柴田学園大学(青森県)、名古屋女子大学(愛知県)、帝塚山学園大学(大阪府)、長崎県立大学(長崎県)、南九州大学(宮崎県)など全国各地の大学とオンラインで繋がり、学生やシンポジストの先生方による意見交換が行なわれました。本学の学生も、堂々と自分の言葉で発表していました。

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 会の終わりに、食育サミット研究会副会長の広島生活習慣病・がん検診センター大野 センター長の佐伯正弦先生よりお言葉をいただきました。佐伯先生は医師でいらっしゃいますが、管理栄養士の活躍の重要性について熱く応援の言葉を語ってくださいました。

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 今回の食育サミットには、1年生から4年生まで、管理栄養士・栄養士をめざす学生が多く参加しましたが、どの学生にもとても有意義な時間となったようです。

学生の感想

 今回の管理栄養学会を受けて、私はしっかりとした根拠を元に理論を述べていく姿に感銘を受けました。先生方が研究を元に発表されているお姿も、栄養について学んでいる身として、今後の知識の活用の仕方や専門的な分野における物の考え方などについて考える良い刺激となりました。また他大学の学生の人が自身の知識を元に、相手が納得するような意見や考えを巡らせ発表している姿も、同じような立場としてとても新鮮に感じました。普段学内の人や同級生と関わる機会が多く、知らず知らずのうちに狭くなっていた視野が広く開けたようにも感じられ、学外の管理栄養士をめざす人達に遅れを取らないように今後いっそう勉強に励みたいと思いました。
 また、先生方のお話を聞いて、卒業後管理栄養士として社会で貢献する、または職場を中心に職務をまっとうする時には大学で学び会得した知識をそのまま使うのではなく、一般の人に対しては得た知識を分かりやすく置き換えて伝えたり、身につけた知識を大前提としてそこから課題となっている点について深く考える必要があることを意識させられました。そのため、今後は知識を定着させる事だけをめざすのではなく、それを応用し発展させ、他者に対して変換し共有する事が出来るようになる事をめざしたいと思いました。
(2年生 Mさん)

食育サミット研究会会長 渡部佳美教授より

食育サミット研究会は2013年に広島県で開催された第8回食育推進全国大会を機に発足して今年で10年を迎えました。この10年目という記念すべき年の食育月間に広島女学院大学管理栄養学会と共同開催できたことに心から感謝申し上げます。
 本会が、科学的に食育を捉える機会となり、学生の皆さんが食育の担い手として活躍されることを願っています。
 食育サミット開催にご協力いただいた方々、シンポジストの先生方、ご来賓の先生方、オンラインで参加してくださった全国各地の大学の皆さま、この度は誠にありがとうございました。
 管理栄養学会では、今後も学生の知識の獲得や探求の場として、さまざまな催しを企画してまいります。

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管理栄養学会

管理栄養学科では、春と秋に管理栄養学会を実施しています。

今年は、11月30日(水)に秋季管理栄養学会を実施し、2022年度に開講した科目である『栄養チャレンジ・ラボ』を履修した1・2年生による発表会を行いました。

まず、講堂で各ラボ(脳科学ラボ・食育ラボ・食品開発ラボ)の代表グループに、プレゼンテーションによる発表を行っていただきました。広い講堂で、堂々と発表されています。

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講堂とアセンブリーホールをオンラインで繋げて、プレゼンテーションを聞きました。

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続いて、すべてのグループがポスター発表を行いました。上級生や先生の質問に対して、これまでの学びから一生懸命回答されていました。

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上級生にとっても、後輩の研究成果の発表はとても良い刺激になったそうです。

この栄養チャレンジ・ラボの発表会は今後も秋季管理栄養学会の時期に実施される予定となっています。
脳科学ラボ・食育ラボ・食品開発ラボの今後の発表が楽しみですね。発表者のみなさん、お疲れ様でした!

これからも探究心を持って学びを深めていただけるよう、教員一丸となって応援しています。

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 広島女学院大学の管理栄養学科では「管理栄養学会」という組織をもち、学生の活動支援や学術講演会を開催しています。今年度は、本学科OGである管理栄養士の増井 祥子先生(医療法人恵正会)をお招きして7月6日に『二宮内科の管理栄養士の業務と役割 ~フードバンク活動を通して見えてきたこと~』という演題で講演していただきました。
 なお、当日は、本学科同窓生の会である「アイリス食の会」の第29回研修会も兼ねて、オンラインを活用したハイブリッド型にて開催されました。

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 講演会ではまず、管理栄養学会長の石長先生から開会挨拶があり、新学会長の妻木先生から増井祥子先生の紹介がありました。その後、講演が始まりました。

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 学科学生と同窓生は、上の写真の3教室とオンラインとで聴講しました。
 お話では、医療法人の中での管理栄養士としての仕事への関わり方(栄養管理、栄養管理計画書、食事に関する情報提供書、NST、食事・調理指導、献立作成など)に始まり、CSR(企業の社会的責任:企業が社会で存続するために利益を追求するだけでなく、社会の一員として社会的責任を果たすこと)や、ヘルスリテラシー(健康や病気の情報を入手し、理解し、評価し、活用するための知識、意欲、能力のこと)について、まず述べられました。
 また、行政、民間企業とNPOやNGOの違いや、フードバンク活動(食品関連企業や農家、個人の方々から余剰食品を寄贈していただき、それを主に生活に困窮している人々を支援しているグループに分配する活動)についてお話しいただき、社会に貢献する管理栄養士について、大きな示唆をいただきました。

 増井先生が携わっておられるフードバンク事業の『あいあいねっと』では、「食」を仲立ちとして人と人との縁を結び、地域社会の人々の生活を支える活動を推進されており、あわせて、地域の人々が安心して暮らすことのできる心豊かな地域づくりをめざされているそうです。

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 『あいあいねっと』の活動は、人々の心や経済状態を含めての総合的な栄養サポートが病院での栄養相談だけでは難しいとの思いがあり、始まったそうです。栄養相談によって栄養の摂り方はわかっても、家族に経済的な負担をしいてまで望むことはしたくない、という高齢者の方々もいらっしゃるそうです。住み慣れた地域で、その人らしく安心して暮らせる地域づくりをするためには、「食」と「居場所作り」は欠かせない、との思いで、これらの活動はなされています。
 フードバンク活動は
① 食品企業から食品が寄贈される
② 食品の点検・整理・仕分け
③ 食品を必要とする団体に引き渡す
④ 各団体で調理して食べる
からなりますが、寄贈される食品についても紹介されました。

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 七夕などの時期の過ぎた季節商品や、育ちすぎた作物、飾り切り野菜の残りの部分、納品期限が過ぎた備蓄食料、コロナの影響で使われなかった食べ物など、『まだ食べられるはずだったのに捨てられてしまう食品群』が紹介され、その種類の多さに、聴いている私たちも、目から鱗がおちる思いでした。経済的に生活が苦しい人々がいる一方で、用途を見いだせずにただ廃棄される食料が膨大にあるのです。ここをつなぐのが『フードバンク活動』ということになるわけです。

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 活動支援団体には、食品メーカーのほか、物流、店舗、IT関係、文具店、電力会社、衛生管理会社、運送会社、医療法人、社会福祉法人の各団体が、食品活用団体には、路上生活者支援団体、青少年自立支援団体、障がい者支援団体、高齢者支援団体、地域の社会福祉協議会、高齢者生き生きサロン、母子支援センター、父子家庭ネットワーク、反貧困ネットワーク、地域・こども食堂などがあるそうです。
 みんなで支えあって、もっと元気な地域を創るため、多くの団体の方々が活動を支援してくださっています。

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 その後、食品ロスの現状ほか、多くの視点からのお話がありました。
 大切な食べ物を捨てずに生かすこと、食べ物は自然の恵みであること、食べ物は命そのものであること、食べ物を無駄にしないこと、食べ物は食べるためにあること、をあらためて思い直す時間となりました。
 食を通して地域の人々、地域資源をつなぎ、誰もが「その人らしい」暮らしができる地域づくりに貢献する、それを地域の管理栄養士としてめざされているとのことでした。

 この講演会では、会場の皆が元気をいただきました。
 増井祥子先生が益々お元気でご活躍されることをお祈りしております。

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