管理栄養学科では今年から、本学科オリジナルの実践型授業である『栄養チャレンジ・ラボ』が開講されています。これは、1年生から専門分野を学ぶ楽しさを体験できる授業です。
1年生は、食品開発の基礎を学び、魅力あるモノ作りに挑戦する「食品開発ラボ」、食育活動を通して食の大切さを伝え、人と関わる喜びを体験する「食育ラボ」、脳科学の視点から、食行動やおいしさを感じる仕組みを探求する「脳科学ラボ」の、3つのうちから1つを選んで受講します。
今回紹介する「脳科学ラボ」では、味覚・嗅覚の脳神経系システムや、食欲中枢の視床下部と行動の動機づけのドーパミンなど、食欲に関連した脳神経科学の基礎を学び、その演習として『食に関する不思議な感覚』を経験し、その議論などを通して、自分の意見や考えを表現する力を身につけてゆきます。ここでは「脳科学ラボ」で演習として行った『味覚の不思議体験』を中心に、活動の様子をレポートします。
この演習では、それぞれの官能検査を行ない、以下の①~③について考えました。
① ミラクルフルーツで、なぜ酸味を甘味に感じるのか?
最初にレモン果汁を味わって、すっぱさを体験します。その後にミラクルフルーツを口の中で舐めてころがし、果実を口の外に出してから、再度、レモン果汁を味わって、すっぱさの変化を体験します。酸味はどうなるでしょうか。
② 昆布とかつお節を合わせると、なぜ"うま味"が増強されるのか?
まず、昆布からだしをとります。
次に、かつお節からだしをとります。
さらに、昆布でだしをとり、続いてかつお節を入れて、昆布とかつお節の合わせだしを作ります。
それぞれのだし汁と、昆布とかつお節の合わせだしとを比べます。うま味はどうだったでしょうか。
③鼻をつまんでりんごジュースを飲むと、りんご味がどうなるのか?
最初にりんごジュースを飲んで、りんご味を感じます。続いて、写真の器具(鼻栓)でしっかり鼻をつまんでりんごジュースを飲んでみます。りんご味や風味にはどのような違いがあるでしょうか。
授業では、この演習の前に、「ニューロンとグリア細胞について」、「活動電位、シナプス伝達について」、「脳の構造と役割」、「脳内のネットワーク」、「味覚に関連した脳神経回路」、「管理栄養士が知っておく味覚の知識」について講義がありました。
現在は、この体験を、これらの知識や、新たな気づきをもとにして総合的にとらえ、最終のプレゼンテーションの準備を進めています。この授業を通して、今後学んでいく栄養学を多角的に考える能力を、皆で高めようとしています。これからも、自分自身の気持ちの高揚感を大切にしていきましょう。