管理栄養学科3年生の秋学期の実習では、春学期に初めて体験した100食以上の給食を提供する「大量調理」の学びをさらに深めていきます。
今学期は弁当、行事食、エネルギーコントロール食への展開について、各班でテーマを決めて行いました。
では、その様子を見ていきましょう。
9月27日
50代男性を対象に、「減塩~秋を満喫しよう~」というテーマでお弁当を作りました。
お弁当では通常よりも品数が増えるため、味付けや食材がかぶらないようにしたり、調理工程も重ならないようにと、たくさんの試行錯誤を重ねて献立作成をしました。
減塩にするため、使う調味料の量を減らす工夫で真空調理機を使用したり、だし割醤油を作ってたれ瓶に詰め、食べる直前にかけられるようにしました。そのため、塩分を減らし、食べた時にはしっかり味を感じられるお弁当になり、喫食者の方々からもおいしいと満足していただきました。
10月4日
30代男性を対象に、「満腹ヘルシー弁当」というテーマで肥満予防を心がけるためのお弁当を作りました。揚げずに焼くことでエネルギーを抑えたチキン南蛮は、甘酢だれにつけこみ味がしっかりついていたため、少しのタルタルソースでおいしく食べられたと満足していただきました。
10月11日
産後の女性を対象に、「ママもたのしく、しっかり食べよう!」というテーマで節分の行事食を提供しました。作業工程のことも考え、散らし寿司や押し寿司なども検討しましたが、やはりここは巻き寿司で! 何度も練習を重ね迎えた本番当日は、練習の成果もありきれいな巻き寿司ができました。手で食べることも考え、お手拭を用意するという心遣いもあり、喜んで食べていただきました。
11月1日
小児病棟に入院する子どもたちを対象に、「ハロウィン~旬の食材を知って秋を楽しもう~」というテーマで行事食を提供しました。子どもたちが好きなハンバーグにはいわしのすり身を使い、ソースにしめじ、添え野菜にれんこん、サラダにはりんごといった旬の食材を使いました。そしてハロウィンといえば「かぼちゃ」。今回はなめらかなかぼちゃプリンを作り、とても好評でした。
11月8日
20~60歳の男性入院患者(常食)と糖尿病患者を対象に、「冬を乗り切ろう!」をテーマにし給食を提供しました。常食から献立の一部を変更して、他の食種に変えた食事を展開食といいます。今回の展開食では主菜の竜田揚げを香味焼き、また鶏肉ももも肉から胸肉に変え、おでん煮の具材をじゃがいもから大根に変更し、エネルギーを調整しました。
展開食により献立が増える分、作業工程も注意する点も増えるため、厨房内はバタバタしましたが、声を掛け合って確認し作業を進めました。病院や高齢者施設ではこのように展開食を毎日提供している施設がほとんどで、大量調理の大変さをとても感じる実習になりました。
〔常食〕
〔エネルギーコントロール食〕
11月15日
20~69歳の女性入院患者(常食)と糖尿病患者を対象に、「おいしく食べよう!食欲の秋!」をテーマに給食を提供しました。展開食ではおろしきのこあんかけの魚を鮭から鱈に、また含め煮の里芋・蓮根をなすに変更し、エネルギーを調整しました。
工程が増えて大変ではありましたが、それぞれが自分の役割分担に責任をもって取り組んだことでスムーズに提供することができました。
〔常食〕
〔エネルギーコントロール食〕
11月22日
小児病棟10~12歳の子どもたちを対象に、「野菜を食べてクリスマスを過ごそう!!」というテーマで行事食を提供しました。
ビーフシチューには星形に抜いた人参、千切りキャベツにコロコロに切ったかぼちゃやさつまいもと小海老を飾り、玉ねぎで作ったドレッシングをかけて、クリスマスツリーに見立てたキラキラサラダ、そしてデザートには豆腐ケーキと紅茶を提供しました。部屋ではクリスマスソングを流し、ケーキを提供するときにはサンタさんやトナカイのイラストが入ったランチョンマットをしいて、楽しい空間の中、みんなでクリスマスを満喫しました。
11月29日
入院患者様にもお正月を楽しんでいただくため、干支の「戌」にかけて「"ワン"ダフルおせち」をテーマにおせち料理を提供しました。今回は意識的に野菜を取り入れた献立にしており、通常のおせちより多くの野菜を摂れるよう工夫しました。作るものも多く、盛付も大変でしたが、はらんや南天の葉をあしらうことで華やかになり、彩りもよく豪華なおせちでとても喜んでいただけました。
一年を通して、献立作成から調理、提供まで給食経営管理の一通りを実践で学んできました。
大量調理は一人ではできず、みんなの協力があってはじめて一つのものが完成します。話し合いを重ね、試行錯誤しながら作り上げていく大変さや達成感は、学生にとってとても大きな糧になったのではないでしょうか。