下岡研究室では、卒業研究として、「保育所における食育活動」、「スポーツ選手の栄養管理」、「高尿酸血症予防に向けた食事の検討」を行っています。
どの研究においても、対象者に合わせてどのような教育が必要かを考えることを最も重要なテーマとしています。この、「対象者に合わせた教育を考える」ということを栄養の学問分野では「栄養教育」といい、管理栄養士が身につけなくてはいけない基本技術の一つです。つまり、卒業研究を通して、研究する力だけでなく、実際に管理栄養士としての実践力も養っています。
では、具体的にどのような研究内容かを紹介します。
「保育所における食育活動」では、まず子ども達の食生活における問題点を明らかにするために色々な調査をします。一つは、「咀嚼」という視点から検討しています。具体的には、子ども達に「咀嚼力判定ガム」を噛んでもらい、咀嚼する力が成長とともに養われているかを調べます。また、毎月の身長・体重の変化を記録して、発育状態を把握します。さらに、子ども達の食事の様子を観察したり、保護者にアンケートを行って、保護者が子どもの様子をどのように評価しているかも調べます。このように子ども達の栄養状態や発育状態、食生活状態を把握し、何か問題がないかを抽出します。そして、その問題を解決するためにどのような食育活動を行うべきかを考えていきます。子ども達の普段の様子を把握することが大切なので、子ども達と関わりを深められるように、毎週保育園に通っています。
「スポーツ選手の栄養管理」では、種目を水中競技と陸上競技に絞って、栄養サポートをしています。実際には、練習内容を観察してエネルギー消費量を算出し、一方で食事内容を調査し摂取エネルギー量や栄養素量を把握します。これらから、スポーツに合った食事が摂れているか評価をして、問題点がある場合は、個別に選手さんに食事の摂り方の指導を行います。毎日の練習内容が違うので、何度も練習を見に行きます。練習時間は長い時には1日10時間を超えることもあり、その間、ゼミ生はずっと練習内容を細かに記録し、エネルギー消費量を算出するというとても大変な研究です。エネルギー消費量をなるべく正確に算出しないと、体重管理が難しくなるので、1週間に1回のペースで、ゼミ生は頑張って調査を行って選手さんと関わりを持っています。
「高尿酸血症予防に向けた食事の検討」についてです。これまでの研究から、摂取した食事による体内での酸生成度が高いと、尿への尿酸の排出が低下し、その結果、体内に尿酸が残り、痛風になる可能性が高まることが分かっています。そこで、どのような食事をすれば、体内での酸生成量を抑えることができ、高尿酸血症を予防できるかを明らかにすることを目標としています。現在は、日本で流通するほとんどの食品について、一つ一つ体内での酸生成量を計算し、理想的な食品の組合せを計算しています。2,000種類近い食品を一つ一つ計算していくという、大変な作業を行っています。しかし、現在増加し続けている高尿酸血症(痛風)の患者さんを少しでも減らすことができるならと考え、ゼミ生は頑張っています。
ゼミ生は、毎日このようなハードなスケジュールで研究を行いながら、時間をみつけては国家試験勉強も夜遅くまで頑張っています。毎年、下岡ゼミはとても忙しいのですが、ゼミ生はそれでもお互い支え合いながら、ワイワイと楽しみながら頑張っています。大変だからこそ、記憶に残る楽しい1年になると思っています。