児童教育学会では11月30日(水)、2022年度後期講演会を開催致しました。
講師に、「ヒトと動物の関係学会」の会長でもあられる広島大学大学院統合生命科学研究科の教授谷田創先生をお迎えし、「児童教育における動物介在教育の可能性と課題~ヒトと動物の関係学と動物福祉の視点から~」と題してご講演をいただきました。今回は、感染対策に十分留意しながら、久しぶりに対面で開催することもできました。
谷田先生は、ヒトと動物との共生を目指したフィールド研究を専門領域とされており、家畜や動物園動物をはじめ、野生動物から、伴侶動物や教育施設の飼育動物まで、私たち人間にとって身近な存在である様々な動物についてのお話をうかがうことができました。とりわけ、保育者・教師を目指す学生にとっては、動物介在教育のあり方を深く考え、動物との共生や動物福祉について目を開かれる契機となりました。
学生から寄せられた感想文から、一部を紹介します。
「命の教育として『殺す・殺さない』『食べる・食べない』ではなく、問題の本質は『生きている間に適切に管理され、健康で幸せであったか』ということであると聞き、印象に残った。今まで動物の命をいただいてきた人間の生活を急に大きく変えることはできないと思う。しかし、だからこそ動物やその命に対する共感性を育み、動物が幸せで健康な生活を送ることができるように、動物について考えていくことや命の教育を通して子どもの心を育てていく必要があるのだと学んだ。」
「今回のお話を聞いて動物への向き合い方、接し方を改めて考えていくべきなのだと思った。野良猫や野犬の殺処分の数を聞いて、改めて、多くの動物が殺されてしまっているのだと分かった。そのような問題の発端は人間であるため、生き物を育てる際には責任が必要だと思う。生きている間にその動物が幸せで健康に過ごせる環境が大切であって、その時間向き合ってあげることが大事であると思う。動物自ら選ぶことができないため、動物に生まれて幸せだったと思えるよう環境を整えてあげたい。」
「動物と実際にふれあうことだけでなく、そこから関係性を築くことが重要だと学びました。保育者として、子どもたちにはヒトにも動物にも共感性の高い意識をはぐくんでいけるよう環境づくりをしたいと感じました。(中略)「生きている間幸せであったか」という視点が、本当の命の教育なのだと感銘を受けました。」
「(前略)たかが動物と考えるのではなく、ヒトと同じように快適な環境で飼育され、健康に生きる権利があることを念頭に接していかなければならないと思った。もし動物を飼う際には、その動物に適した環境を提供し、幸せだと思えるようにたくさんの愛情を与え、最後まで責任を持って世話をする覚悟が必要だと思った。」
ご講演終了後には、質疑応答の時間をとってくださり、学生からの質問に丁寧に答えてくださいました。
副会長の下土居さんが学生を代表して御礼の言葉を述べました。
講師の谷田創先生に花束を贈呈する様子。
講師の谷田創先生を囲んで記念撮影。(撮影時のみマスクを外しています)
学生たちひとりひとりが今の自分にできることについて考え、それぞれの人生の中で、今日の学びを自分のものとして生かしていってくれることと思います。
学会役員は、今回も、当日に向けて、全員で協力しつつ、心を込めて準備を行ってきました。児童教育学会では、講演会の運営の他、学会総会の運営や、学会誌である幼心の日々記の発行などを行っています。大変なこともありますが、同時に大きな達成感も得ることができます。1・2年生のみなさん、興味をもったら、是非一緒に活動しましょう!