卒業シーズンが近づいています。毎年4年生の学生たちを送り出すのは、嬉しくもあり、また寂しくもあります。ですが、卒業後も近況報告をしに教員に会いに来てくれる卒業生も多く、成長した姿での再会は嬉しいものです。
今回は、先日恩師を訪問した卒業生の池田さんの学生時代や卒業後の仕事の様子などについて紹介したいと思います。
大学院でお世話になった戸田教員とHerbert教員と一緒に
私は専門学校を卒業後、3年次編入で広島女学院大学に入学しました。学部では英米文学・文化について学び、授業での和訳の練習などを通して翻訳に興味を持ちました。そして卒業論文では、ジブリ映画『もののけ姫』の日本語版・英語版のセリフの違いについてなぜそのような変化が生じるのかを考察し、文化や言語的な違いが関係していることが分かりました。
卒業後は広島女学院の大学院へ進学し、引き続き英米文学や翻訳について学びました。すべての授業を1対1で受けることができて、とても有意義で贅沢な2年間でした。修士論文では別のジブリ映画『千と千尋の神隠し』を取り上げ、日本語版・英語版のセリフの違いがもたらすキャラクターへの影響について考察し、主に英語版ではキャラクターの「悪」の部分が強調され、さらにストーリーやテーマにも影響を与えているという結論を導きました。
女学院はとにかく居心地のいい大学でした。編入した当初は少し不安もありましたが、同級生も先生も温和で素敵な方が多く、卒業まで楽しく穏やかに過ごしながら学ぶことができました。尊敬できる方々をお手本にして在学中に人間的にも成長でき、今の自分があるのは女学院での様々な出会いのおかげだと改めて感じています。
また、思い出と言われて最初に浮かんだのは、大学図書館4階の窓際の机で過ごした時間でした。静かな空間で日中は日も当たって暖かく、授業と授業の間や休み時間に課題をしたりのんびりしたりするのに最高の場所でした。ゆっくり過ごしたいときはぜひ利用してみてください。学内に自分のお気に入りの場所を見つけることも、充実した学生生活を送る秘訣の1つだと思います。
今は家業を手伝いながら、広島女学院大学でラーニング・アドバイザーを、他大学では英語の非常勤講師をしています。ラーニング・アドバイザーとしては、TOEICやSPIのセミナーを担当したり、英語の学修相談に対応したりしています。この仕事は大学院在学中から始めたので、修了するまでの仕事になるだろうと思っていたのですが、居心地がよく、気づいたら5年目に突入していました。勉強の相談はもちろん、ちょっと話を聞いてほしいとふらっと立ち寄る学生もいるので、気軽に何でも話しに来てください。
非常勤講師は指導教員だった戸田先生の紹介でお仕事をいただき、英語基礎の授業を担当しています。授業で学生たちに教えるためには、まず自分がその事について詳しく調べるため、自分自身の英語力の向上にも繋がっています。出講先の大学で学部時代に授業を受けた先生と再会し、映像翻訳の指導をしていただいています。新しいことをたくさん教えていただき、久々に学生時代に戻ったようでまた何か勉強しようと思うきっかけになりました。その思いから、現在、月に1回のゲーム翻訳のオンライン講座も受け始めました。自分の大好きなゲームと翻訳が合わさって、課題や授業もとても楽しく、いずれ仕事にできたらいいなと思っています。
大学生の間にぜひ様々ことに興味を持って、広く浅くでもいいので知識や経験を増やしてほしいと思います。私は昔から、色んなことに興味を持ってやり始めてはすぐに飽きて長続きしないタイプでした。何か特別な技術や知識が身についたわけでもなく、時間もお金も無駄にしたかなと思うことも多かったです。しかし社会人になってみると、その少しずつの様々な経験や知識が、思いがけない場面で役立つことが何度もありました。業務上で意外なアイデアを生むきっかけになることもあれば、人との会話で盛り上がる話のネタになることもありました。
色々な知識や経験の積み重ねが、いずれどんな形であれ自分を助けてくれると思うので、大学の授業はもちろん、本を読んだり映画を見たり、趣味やバイトで色々な経験をしたりとぜひ積極的に行動してほしいと思います。
高校生や大学生のみなさんは、学生生活についても、卒業後のキャリアについて悩みも多いと思います。池田さんのように色々な経験が新しいチャンスや人との出会いにつながることがありますので、楽しみながら様々なことに取り組んでもらえればと思います。