今回は、「地域連携文化セミナーⅠ」授業紹介の〈後編〉です(前編および中編)。本科目では、保育やゲーンス幼稚園について事前調査学習をし、実際に保育の現場を8回に渡り体験させていただきました。体験後は、毎回自分の体験を記録として綴ってきました。最終回では、これまでの実地体験のリフレクションを自分の言葉で語る会を行いました。幼稚園の先生も参加してくださり、学生のリフレクションにコメントを与えてくださいました。
学生の皆さんは体験から何を学び、どのような成長を得たのでしょうか。
学生の皆さんの「言葉」から「成長」と関連づけていくつかご紹介します。
〇どのような言葉で話しかけたらわかってもらえるかをすごく考えました。3歳の子の次に5歳の子に話をすると、5歳児の子の発言に驚かされました。どうしたらわかってもらえるか試行錯誤をしていくうちに、年齢に合った話し方でお話が出来るようになりました。
〇この講義で一番成長したことは子どもに対する接し方です。発達段階にあった遊びや話し方を知れたり身につけたりできたことや、子どもに積極的に関わろうとしたことなど多くのことで成長できました。
〇私ははじめ、振り返りをとても大雑把に書いていて、軽く行動などを書いただけでした。しかし、途中でリフレクションの見本を送られてきて、私も細かく、実習中に起きたことを鮮明に覚えておけるように、そのことを頭の片隅に入れて実習に挑むようになりました。
〇本授業では、地域連携の視点からも学ぶことは多々あったが、それ以上に教育の視点、教師の目線での学びを得られたところが一番の成長につながったと考える。例えば、今までの教職の授業の中で、「子どもたち一人ひとりに合った指導をしよう」とよく言われていたが、その重要性を今回の実習で身をもって学ぶことができた。また、教師の表情も子どもと関わる際には重要であることも学ぶことができた。
〇体験を通して疑問に思ったことについて自分で考えることができました。例えば、子どもたちがけんかしていた時にどのように止めるべきなのか、泣いている時はどのように声掛けをしたら良いのかなど体験の中で疑問に思ったことがいくつかありました。今までは疑問に思ったままにしてしまっていた私が解決できるまで考えたり、先生の行動を見て学んだり、実践したりすることができました。
〇地域連携への意識が高まった。積極性や行動力など人間性の面で成長できたことはもちろんあるのだが、一人の大学生として地域とどう関わっていけばいいのか考える時間を多く持つことができた。普段の大学生活では視野が狭まっていが、触れ合う機会が少なかった幼稚園児や先生方と交流を持つことで視野の広がりを感じた。地域について考えるきっかけを本授業で持つことができたことは貴重だったと感じている。
一人ひとりが自分の言葉で経験をリフレクションし、語りました。
「調査活動→調査報告(報告書作成とプレゼン)→保育実地体験→リフレクション(毎回の記録)→語り」という一連のプロセス体験の意義・価値についても考えました。
〇子どもについての知識が少ない私にとっては、実習前の調査を行うことで実習の時の不安が少し和らげることができました。また、リフレクションを書くことでその日に起こった出来事を振り返ることができ、次に向けての目標や反省をその場でできるので価値があるものだと思いました。最後の語りでは、みんなの素直な気持ちを聞けて、私もそうだなと思ったり、こういうことを思った人もいるんだと自分の情報を共有できる場があります。以上のことから一連のプロセス体験は価値があると考えます。
〇実習後の振り返りはとても大切でした。文字に起こしてみないとわからないことがたくさんあります。書いていくうちに、「あれはどういうことだったっけ」「あの時どうしたらよかったんだろう」という疑問点もたくさん出てきます。その疑問点を調べることで次週の実習で役立ちました。また、最終日の語りでは、みんなの実習体験を共有し、「こういう考え方もあるんだな」と考えさせられることがたくさんありました。どれか一つでも抜けてはいけないプロセスであるなと思います。
〇調査活動や、報告では、伝える力がぐんと成長できました。最初はなにを書いていいのかわかりませんでしたが、他の学生のお手本を見て、徐々に伝える力を伸ばすことができました。また、保育実地体験では、毎度何かしらを得ることができるため、伝えたい!と思うことも増え、記録で伝える力を伸ばすきっかけにもなりました。そして、最後の語りや、リフレクションで振り返ることで、他の学生の学んだことや知識、自分自身の学んだことや成長点を知ることができたので、この一連のプロセスは普段することができない価値のあるものだと思いました。
〇今回の調査活動は大変重要なものであると思う。この講義のプロセスにより、幼児と関わるための備えをし、調査報告により他者の意見から知らなかった部分を補うことができる。これらの備えを実際の体験に形を変えることで、学びに変わる。そして、学びを言葉にすることで、何を得たのか振り返ることができる。つまり、この一連の流れは、知識から体験、体験から経験へと「学び」の形を変え「学び」が段階を踏むごとにコーティングされ深い部分まで追求することができる。
過去2年間コロナウイルス感染症の流行により実行ができていなかったゲーンス幼稚園での実地体験学習。今年度は、幼稚園のご協力もあり、実行することができました。おかげで学生の皆さん一人ひとりがそれぞれの経験と学び、成長を得ることができました。これを機に、大学と幼稚園、地域の連携が持続可能なものとなり、その絆がより深まっていくことを願います。ありがとうございました。