学会と聞くと少し敷居が高いイメージがあるかもしれませんね。今回は、6月に関谷弘毅先生が参加した英語教育学関連分野の3つの学会と、そこで発表した研究について関谷先生が紹介します。
1.JACET中国・四国支部春季研究大会 6月2日 於:広島市立大学
JACETとは、"The Japan Association of College English Teachers" の頭文字をとったもので、日本語で「大学英語教育学会」と言います。大学の英語教員が中心となって、英語教育をよりよくするための研究・教育活動を行っています。私が発表した研究テーマは、「英語学習における動機づけと学習量に与える『井の中の蛙効果』の検討 -所属クラスの習熟度と所属クラス内での位置づけのどちらの影響が大きいのか-」です。検討を行った結果、どうも英語やそれに近い専門の学生は自分の力よりも上の英語クラスに入ったほうが、英語の専門ではない学生はあまり自分の力よりも上の英語クラスには入らないほうが、モチベーションが保てる傾向が見えました。
この学会には国際教養学科3年生の私のゼミ生と、いつも私の研究室で働いてくださっているリサーチアシスタントの方も一緒に参加しました。その時に撮影した写真と、学会に参加した3年ゼミ生の中本明日香さんの感想をここに紹介します。
私が英語教育の学会に参加するのは、今回が二度目でした。会場では様々な大学の先生から、普段の大学の講義だけでは聴くことができないような貴重な研究発表をたくさん聴くことができ、非常に有意義な時間を過ごすことができました。また、私は大学で英語教育を専攻していますが、この学会で学んだ内容は全てがとても新鮮で、さらに専攻分野に対する興味、関心が増し、もっと学びたいという気持ちが強くなりました。
国際教養学部国際教養学科3年 中本明日香
2.中国地区英語教育学会研究発表大会 6月23日 於:山口大学
大学及び小・中・高の英語教員が中心となって研究・教育活動を行っている学会です。将来英語の先生や研究者を目指す大学生、大学院生もたくさん参加しています。この学会で私は、「チーム基盤型学習 (TBL) が知識獲得、理解深化、表現力養成に与える影響 -英語学の授業実践から-」という研究テーマで発表しました。大学での授業で、ずっと講義形式で行うよりは、グループ活動を中心とした方が内容が身につくのではないかということを検証した研究です。結果は、予想通りグループ活動を取り入れたほうが成績が良いというものでした。このようにきちんと教育効果を検証し、授業に生かすことを心がけていきたいですね。
3.日本「アジア英語」学会 第42回全国大会 6月30日 於:中京大学
この学会は、「英語はアジアの言語」という捉え方のもと、英語の多様性を踏まえてそのあり方を追究することを目的としています。ここで私は、 "Learners' Beliefs and Learning Strategies for Second and Foreign Languages at Shanghai Japanese High School"というテーマで英語で発表しました。私が中国の上海日本人学校高等部で英語を教えていたときに、そこの生徒たちが日々生活で中国語に触れることは、学校での英語学習にも影響があるのではないかという関心を持ち、それを検討したものです。分析の結果、上海で中国語を生活で使うことによって形成された語学学習に対する考え方や学習時の工夫が、英語を学ぶときの学習法に転移するという可能性が示されました。たとえ英語圏でなくても、そこでそこの言語に浸かることは英語学習にも影響を与えるようなのです。
このように、私の研究室では英語を学ぶことと、教えることに関する研究を行っています。学会情報や研究成果はこのようにウェブサイトで発信したり、定期的に研究室前に掲示しますので、もっと詳しいことを知りたい方はぜひ私の研究室に尋ねて来てください。大学は学術的な興味に従って自由に追究することのできる場、探究心に溢れた学生を歓迎します。