新学部、人文学部の学びが始まりました。国際英語学科と日本文化学科の学生たちが共に学ぶ「人文学入門」は、4人の教員によるオムニバス授業です。
人文学の世界に誘い、人文学の基礎知識と人文学の方法を身につけることを目指し、映画をはじめ、身近な題材を用意しました。
第1回は、「『ネコ』を人文学してみよう 」。「100万回生きたねこ」、ネコの慣用句・ことわざ・俳句、「猫また」(「徒然草」から)、「吾輩は猫である」などを題材に、学びの第一歩を踏み出しました。
受講生のみなさんの感想を拾いながら、授業の様子をお伝えします。
"「人文学」というものが何なのかまったく分からなかったけれど、今日のこの授業でなんとなく分かった気がしました。身近な「ネコ」でも、人文学すると、様々な面から「ネコ」そのものについて考えることができ、世界が広がった気がしました。普段何気なく見ていたものが、様々な面でリンクしていくなと感じました。"
学ぶことは、まさに世界を広げることだと思います。また学びを深める中で、もの・こと・ひとの見え方が変わっていき、様々なつながりが発見できます。
"「吾輩は猫である」にはじめて興味を持ち、読んでみようと思った。「私」や「僕」でなく、「吾輩」という一人称を選んだ漱石の心理や、それを選んだことで文章がどう変わったのかなどとても興味深いと感じた。昔の作品や文章は、少し読みづらく感じるが、ゆっくり昔の情景などを思い浮かべながら読むのも悪くないと思う。"
古典と呼ばれる作品には、それだけの力があります。最初は根気も必要ですが、あせらずゆっくり昔の人や昔の世界と対話してください。過去から現代、さらには未来が見えてきます。
"「ネコ」からいろいろな文学や人間について考えるのが、面白いと感じた。人間にとって幸せとは何なのか、人間の生きる意味は何なんだろうと考えたことはあるけれど、私は、答えを一つに絞れたことがない。けれど、そのことについて考えることは興味深く、飽きない。人文学入門の授業を通して、これから私なりに答えのないものの答えを見出していきたいと思う。"
世の中の多くの問題は、一つの答えがすぐに出るわけではありません。また、そのような問題ほど考える価値もあります。自分自身でしっかり考え、自分なりの答えを求めていってください。
"人文学は、自分が生きていくのに役に立つだけでなく、世の役に立つと考えた。人種差別や障害者差別がひどかった時代に、差別されていた人たちを救い、差別のない社会へ導いたのは、人間文化について考えた人たちや、哲学的に考えた人たちだと思う。100万回生きたねこが、泣いたことがなかったのは、自分以外を大切に思ったことがなかったからであり、最後にもう一度生まれなかったのは、自分以外を愛することが生きる意味だと思えたからだと思う。"
ここにあるように、人文学はすぐに実用的な役に立つわけではありません。けれども、社会の在り方を問い直し、社会悪と戦い、よりよい社会を築いていくための大切な学問だと思います。
第2回、第3回は、映画「君の名は」を題材に、人文学を共に学んでいます。